日本酒のおいしい飲み方は?初心者向けの基本やツウなアレンジを紹介
お米と米麴を主な原料とする日本固有のお酒、日本酒。お米の豊かな香りが多くの人を魅了している一方、日本酒独特の風味や、高いアルコール度数に苦手意識を感じている方もいるかもしれません。本記事では、日本酒初心者の方はもちろん、すでに日本酒をたくさん飲んで来たツウの方も楽しめる、おいしい日本酒の飲み方をご紹介します。日本酒は飲み方によって様々な味に変化するので、ぜひ新しい日本酒の飲み方を知って、お酒の席をもっと楽しんでください。
日本酒をおいしく飲むために知っておきたい基礎知識
日本酒は飲み方だけではなく、日本酒の種類によっても味が変わってきます。まずは、日本酒そのものの味を左右する原料による名称の基礎知識を学んでおきましょう。
①原料が米のみの日本酒には『純米』がつく
日本酒とは、日本産のお米と米麴を主な原料として発酵させたお酒を指します。中でも原料がお米・米麹のみの日本酒には『純米』という名称が付きます。例えば以下のような名称です。
●純米
●純米吟醸
●純米大吟醸
一方で、お米・米麹・水という原料のほか、醸造アルコールが含まれている日本酒もあります。醸造アルコールを含む日本酒には、以下のように『純米』という名称が付きません。
●本醸造
●吟醸
●大吟醸
醸造アルコールを含む日本酒は、本醸造タイプとも呼ばれます。原料にお米のみを使っている純米タイプの日本酒は、お米の甘味や旨味が凝縮されているという特徴があります。一方、醸造アルコールはクリアな味わいが特徴。本醸造タイプの日本酒は後味のキレが良くなりやすいです。
②米を沢山磨いた日本酒は『吟醸』や『大吟醸』
日本酒は、原料となるお米の精米歩合によっても味が変わってきます。
精米歩合とは、玄米から表層を磨き上げて残ったお米の割合のことです。
例えば精米歩合が60%なら、玄米の40%を磨き、60%が残っている状態を指します。
お米の表層部分に含まれている栄養素は雑味のもとにもなるため、基本的には表層を削れば削るほど雑味がなく綺麗なお酒になります。
時間をかけてじっくりと精米をしていきますので、お米をより多く磨くほど手間がかかるため、高級酒に分類されます。
玄米の40%以上を精白(精米歩合が60%以下)の日本酒が『吟醸』、玄米の50%以上を精白(精米歩合が50%以下)の日本酒が『大吟醸』とつける事ができます。
原料や精米歩合によって日本酒を分類すると、以下のようになります。
タイプ | 純米タイプ | 本醸造タイプ | |
原材料 | 米・米麴 | 米・米麹・醸造アルコール | |
精米歩合 | 50%以下 | 純米大吟醸 | 大吟醸 |
60%以下 | 純米吟醸・特別純米 | 吟醸 | |
70%以下 | 純米 | 本醸造 |
温度による日本酒の基本的な飲み方
日本酒の味は、温度によっても変化します。同じ日本酒でも、温度を変えることでその風味をより引き立てたり、逆に風味を抑えてスッキリ飲みやすくしたりすることも可能です。具体的には以下のような飲み方があります。
● 冷酒で飲む
● 常温で飲む
● ぬる燗で飲む
● 熱燗で飲む
温度による日本酒の飲み方を解説します。
冷酒で飲む
冷酒とは、冷やした日本酒を指します。日本酒は温度が低いほど喉ごしが軽くなり、日本酒特有のクセが抑えられるという特徴があります。日本酒が少ししか飲めないという方にはスッキリと飲みやすくなるというメリットがありますが、冷やし過ぎると日本酒の風味が感じられず、「どれを飲んでもあまり変わらない」という場合も。
冷酒でも日本酒の香りを感じたい場合は、果実の様な香りがある吟醸酒や大吟醸酒がおすすめです。日本酒初心者の方で、まずは旨みのある飲みやすい日本酒に慣れるところから始めたいという場合は、吟醸酒や大吟醸酒はぴったりです。
温度によって、雪冷え(5℃)、花冷え(10℃)、涼冷え(15℃)に分けられるので、気温や日本酒の酒質によって変えてみてください。
常温で飲む
日本酒の常温は20℃~25℃程度で、口に含むとやや冷たく感じる程度を指します。冷酒よりも日本酒の香りや風味が引き立つため、純米タイプの様なお米の豊かな味わいが楽しめる日本酒は、冷酒よりも常温がおすすめです。我々が利き酒をする場合はさまざまな味わいを一番感じる事ができる常温で日本酒を利きます。日本酒に慣れてきた方は、冷酒と常温を飲み比べてみると、香りや風味の違いを実感できて楽しいかもしれません。
ぬる燗で飲む
温かい日本酒全般のことを、『燗酒』と呼びます。
中でもぬる燗は40℃程度の日本酒で、お米の香りや風味がよく引き立つ温度だと言われています。人肌燗とも呼ばれます。ぬる燗はお米の旨みが感じられるので純米酒の飲み方としておすすめです。吟醸や大吟醸も冷酒がおすすめですが、ぬる燗にしても香りが立ち、まろやかさも感じることができます。ぜひお試しいただくとより一層日本酒の楽しみが増えると思います。
熱燗で飲む
燗酒の中でも、50℃以上の日本酒を熱燗と呼びます。熱燗の日本酒は味わいがシャープになっていき、熱くなっていくにつれて香りが少なくなっていきます。辛口の日本酒がお好きな方におすすめの飲み方です。燗冷ましと言われる一度燗をして時間を置くにつれて冷めた日本酒を楽しめるのも熱燗ならではの楽しみ方です。
日本酒ツウにおすすめのおいしい日本酒の飲み方
日本酒は合わせる食事や季節によって味わいが変わってくるほか、シチュエーションに合った日本酒を飲むことで、その場にふさわしい雰囲気を作りやすくなります。
● 食事に合わせて選ぶ
● 季節ごとに選ぶ
● TPOに合わせて選ぶ
上級者の方には、上記の3つを意識した日本酒選びがおすすめです。詳しく解説していきます。
食事に合わせて選ぶ
お米の旨味や甘み、香りをあわせ持った日本酒は、食事に合わせて選ぶことで料理の味をより引き立てることができます。料理の味と系統が離れた日本酒を選ぶと、コントラストが際立ちすぎて料理の味を感じづらくなってしまうので、基本的には料理と似た系統の味の日本酒を選びましょう。
例えば、砂糖やみりんを使った甘い味付けの料理には、甘口の日本酒が合います。塩気がある料理には、辛口のタイプなどキレのある日本酒を合わせると味がより引き立ちます。
居酒屋などで店員さんに相談してみるのはもちろん、ご自身で購入する際は説明欄などをチェックして、食事に合わせやすい日本酒を選んでみましょう。
季節ごとに選ぶ
海や山といった自然に恵まれた日本には、美しい四季があります。各季節の温度や湿度に合わせて日本酒の飲み方を変えてみると、日本酒の新しい楽しみ方が見えてくるでしょう。
例えば日本酒を常温で飲む際は、気温が低い冬はキリッと冷たく、気温が高い夏はまろやかな口当たりを楽しむことができます。冬の寒い時期には思いっきり熱燗で飲んだり、夏の暑い日にはキンキンに冷えた雪冷えで飲んだりするのも気持ちが良いでしょう。
また、日本酒は季節によってさまざまな味わいを楽しむ事ができます。酒造りが始まる11月頃から造りが終わる春にかけて日本酒は搾りたての『新酒』が、フレッシュな味わいを活かした『生原酒』として数量限定で販売されます。冬に仕込んだ日本酒を暑い夏を越して熟成させたのが、秋に販売される『ひやおろし』や『秋あがり』。芳醇な味わいは、脂ののった秋の味覚にもぴったりです。
そのほか季節によって夏季や春季に限定で販売される日本酒もありますので、各季節の旬な食べ物に合わせて楽しんでみてください。
TPOに合わせて選ぶ
日本酒は種類や飲み方によって味や口当たりが変化するため、その場の雰囲気に合った種類を選ぶことが大切です。例えばじっくりと飲みたい時に旨みの多い日本酒を飲み続けると満腹感を早く感じる事があります。
日本酒も、どんな雰囲気を作りたいかという目的に合わせて選んでみてください。
日本酒が苦手な人やマンネリ化してきた人もおいしく飲めるアレンジ方法
日本酒が苦手な人は、日本酒特有の香りや味わいに苦手意識を持つ場合が多いようです。また、すでに日本酒をある程度楽しんできた方の中にも、違う味で楽しみたいという方はいらっしゃるでしょう。
日本酒はただお酒として楽しむだけではなく、凍らせてデザートのように味わったり、サワーやカクテルにしたりすることもできます。
こちらでは、より多くの方が楽しめる日本酒のアレンジ方法をご紹介します。
カクテルやサワーにする
日本酒というとロックや水割りで飲むイメージが強いかもしれませんが、実はカクテルやサワーにしてもおいしく飲めます。
特に日本酒のお米の甘みや芳醇な香りは、甘酸っぱいフルーツと相性抜群。グレープフルーツやオレンジ、キウイなど、お好きなフルーツをギュッと絞って贅沢に生絞りでいただくのがおすすめです。果肉ごと入れるとより見た目にも鮮やかに楽しめます。
ロックのほか、ソーダ割りやトニックウォーター割りに加えると、より飲みやすくなります。
体に優しい日本酒の飲み方
日本酒のアルコール分は15%~19%のものが多く、5%位のビールや14%位のワインに比べてアルコール分が高いという特徴があります。人によっては日本酒を飲むとすぐに酔いが回ったり、悪酔いしたりする場合もあるでしょう。
ですが、日本酒は飲み方に気を付ければ体への負担を少なくして、気持ち良く楽しむことができます。こちらでは、体に優しい日本酒の飲み方をご紹介します。
和らぎ水を飲む
和らぎ水とは、洋酒でいうチェイサーのこと。日本酒と共に水を飲むことでアルコールの吸収をゆっくりする効果があります。食事の合間にも水を飲むことで口の中をリフレッシュできるので、和らぎ水をうまく活用しながら気持ちよく日本酒を楽しみましょう。
人肌燗で飲む
アルコールは、人の体温に近くなるほど分解速度が速くなると言われています。日本酒の場合は温かくして飲むことができますので人肌燗で飲むことで早くアルコールの分解が始まり体への負担を軽くすることができます。
食事をとりながら飲む
空腹のときにアルコールを摂取すると、アルコールが一気に吸収されて酔いが回るのが早くなってしまいます。日本酒は特にアルコール分が高いので、なるべく食事を取りながら飲むのがおすすめです。
飲み方を工夫して日本酒をおいしく楽しもう!
日本酒はその原料や作り方のほか、温度や食べ合わせなど、様々な飲み方で味が変わるお酒です。日本酒があまり得意ではないという方はもちろん、すでにたくさん日本酒を飲んでマンネリ化してきたという方も、飲み方を変えれば日本酒をさらにおいしく楽しむことができます。ぜひ本記事でご紹介した日本酒の飲み方を参考にして、日本酒をもっと楽しんでみてください。