煎り酒の簡単レシピと材料!使い方や歴史についても解説
「煎り酒の材料や作り方は?」「煎り酒の使い方が知りたい」
日本で古くから使われている調味料の煎り酒をご存知でしょうか?
醤油と同じように使える調味料ですが、醤油よりも塩分量が低く出汁の旨みが感じられるので、近年は健康志向の人たちを中心に注目を集めています。
こちらの記事では、煎り酒の作り方や特徴、歴史について解説します。煎り酒の使い方やレシピも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
煎り酒の簡単レシピ!材料と作り方を紹介
煎り酒は自宅でも簡単に作ることができます。
【材料】
- 日本酒:200ml
- 梅干し:1個(大)
- 鰹節:1.25g
- 塩:少々
【作り方】
- 日本酒に梅干しと塩を入れる
- 日本酒が半分になるまで中火で煮詰める
- 鰹節を加える
- 弱火で5〜6分で煮詰める
- 火からおろして粗熱を取る
- キッチンペーパーでや布でこす
- 完成
このように、少ない材料を煮詰めるだけで簡単に煎り酒を作れます。完成した煎り酒は冷蔵保存で3週間〜1カ月ほど日持ちします。
また、日本酒は旨みに関わる必須アミノ酸が豊富な純米酒や、精米歩合が高いものがおすすめです。
おいしい煎り酒を作る5つのポイント
おいしい煎り酒を作るポイントは次の5つです。
- 塩辛い無添加の梅干しを使う
- 風味が豊かな鰹節を使う
- 昆布を入れると深みが出る
- 鍋は底が浅いものを使う
- 純米酒を使用する
梅干しは塩辛く無添加のものを使うことで出汁の味と素材の味が引き立ちます。塩分濃度は18%以上が目安です。
風味が豊かな鰹節を使うのもポイントで、煎り酒は少ない食材で作るからこそ、鰹節が出汁の決め手になります。鰹節にこだわると、よりおいしい煎り酒を作れます。
また、お好みで昆布を入れると、鰹節の出汁にさらにうまみが加わり、煎り酒に深みが出るのでおすすめです。
煎り酒を作る際、鍋は底が浅いものを使用しましょう。底が浅い鍋なら梅干しをはじめとする材料が日本酒にしっかりと浸かり、素材の旨みを引き立てることができます。
そのほか、煎り酒に使用する日本酒は、旨み成分のアミノ酸が豊富に含まれている純米酒を選びましょう。
そもそも煎り酒とは?
煎り酒とは、日本酒に梅干しやかつお節、昆布などを加え、煮詰めて作る万能調味料です。
室町時代から江戸時代にかけて広く使われていましたが、醤油の普及とともに姿を消しました。
煎り酒は、醤油よりも塩分が控えめで、さっぱりとした味わいがあり、素材の風味を感じられることが特徴です。刺身や炒め物、煮物、サラダなどさまざまな料理に使えるため、現代の健康志向に合った調味料として再注目されています。
煎り酒の意味
煎り酒はお酒を煎ったものです。「煎る」とは、材料を火にかけて水気が少なくなるまで熱する調理法のことを言います。
煎り酒は「酒」という文字が含まれますが飲むお酒ではなく、調味料のひとつです。
煎り酒の歴史は?かつて醤油の代用として使われていた
煎り酒は室町時代後期に誕生したとされます。当時は醤油が高価だったため、その代替として煎り酒が一般家庭に普及しました。
その後、江戸時代中期ごろまで煎り酒は使われていましたが、より保存性の高い醤油が手頃な価格で入手できるようになると次第に煎り酒は姿を消していきました。
煎り酒は日本酒・梅干し・鰹節を煮詰めて作る調味料で、塩分が少なくまろやかな味わいが特徴です。しかし、江戸時代の人々は塩分の多い醤油を好み、重労働を行う庶民が多いという時代背景もあり、しっかりとした味の醤油が主流となった歴史があります。
現在、煎り酒は塩分濃度の低さや健康志向に適していることから再注目されています。市販品はもちろん、自宅で簡単に作れることも人気の理由のひとつです。
煎り酒の特徴
煎り酒の主な特徴は次の4つです。
- 塩分が大さじ約0.2gと少ない
- 出汁の旨みがある
- 醤油の代わりになる
- 疲労回復につながる
ここからは、それぞれの特徴を詳しく解説します。
特徴①塩分が大さじ約0.2gと少ない
煎り酒は、塩分が少ないことが特徴です。大さじ1杯あたりの塩分は約0.2gと非常に少なく、醤油の大さじ1杯に含まれる塩分2.6gと比べて約1/13の量しかありません。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日の食塩摂取量の目標としての男性は7.5g未満、女性は6.5g未満と設定されています。
参照:ナトリウム(なとりうむ)e-ヘルスネット|厚生労働省
醤油を多く使うとこれを簡単に超えてしまう可能性がありますが、煎り酒はほとんど塩分が含まれていないため、目標値を超える心配が少なく健康的に使える調味料です。
また、煎り酒は家庭で簡単に作ることができ、自分好みの味に調整できることも魅力のひとつです。
特徴②出汁の旨みがある
煎り酒の特徴のひとつが、出汁の旨みです。
煎り酒は日本酒と鰹節をじっくりと煮込むことで、鰹節に含まれる「イノシン酸」などの旨み成分を凝縮させます。この旨み成分が素材の味を引き立て、料理全体に深みとコクを与えてくれます。
また、使用する鰹節の質によって風味が大きく左右されるため、風味の良い鰹節を選ぶことで、さらにおいしい煎り酒を作ることも可能です。
煎り酒はさまざまな料理に使える万能調味料であり、出汁の旨みが活かされたまろやかな風味が多くの料理を引き立ててくれます。そのため、料理のレパートリーを増やしたいという方にも煎り酒はおすすめです。
特徴③醤油の代わりになる
煎り酒は、醤油の代わりに使える万能調味料として人気があります。
もともと、煎り酒は醤油が普及する前に使われていた調味料であり、その用途は醤油とほぼ同じです。卵かけご飯や刺身、豆腐料理など、醤油を使う料理にそのまま代用できるため、日常のさまざまな料理で活躍します。
さらに、煮物や炒め物のほか、和食や洋食、中華料理にも幅広く使えるため、調理の幅が広がります。煎り酒は梅干しの酸味と鰹節の出汁が調和し、まろやかな旨みを持つのが特徴で、隠し味としても優秀です。
特徴④疲労回復につながる
煎り酒には疲労回復効果が期待できます。
煎り酒の材料となる日本酒と鰹節には、体内で生成できない「必須アミノ酸」が豊富に含まれています。必須アミノ酸はエネルギー源となるだけでなく、筋肉や皮膚、爪、髪などの生成を助け、疲労回復や成長ホルモンの分泌を促進する成分です。
また、梅干しに含まれる「クエン酸」は、疲労の原因となる乳酸を体外へ排出するはたらきがあり、さらにストレス緩和効果も期待できます。
そのため、煎り酒は食欲不振時にもスッキリとした味わいで食欲を促し、疲労回復をサポートする万能調味料として役立ちます。
煎り酒の保存方法は?冷蔵庫で約1カ月
煎り酒は冷蔵庫で約1カ月ほど日持ちします。自宅で煎り酒を作ったら、粗熱を取って清潔な保存容器に移し、冷蔵庫で保存しましょう。
煎り酒は塩分濃度が低いうえに保存料も使用しないため、醤油のように長持ちはしません。できる限り早めに使い切ることが大切です。
煎り酒のおすすめの使い方
煎り酒のおすすめの使い方には、次の6つがあります。
- 刺身や煮物に使う
- 肉や魚の下味に使う
- 納豆や冷奴、卵かけご飯に使う
- カルパッチョに使う
- 和風パスタに使う
- チヂミのつけだれに使う
それぞれ深掘りして紹介します。
使い方①刺身や煮物に使う
煎り酒は、刺身や煮物に使うのがおすすめです。特に、イカや白身魚などと相性がよく、醤油の代わりとして使用できます。
また、和食全般に適しているので、寿司やおひたし、野菜たっぷりの煮物にも活用できる万能調味料です。
使い方②肉料理や魚料理に使う
煎り酒は肉や魚に使うのもおすすめです。
ローストビーフやジンギスカンなどの肉料理のほか、焼き魚に煎り酒を使うことで、出汁の旨みが加わり風味豊かな仕上がりになります。
下味として魚や肉を煎り酒に漬け込めば、調理後に出汁の香りが広がり、食卓にアクセントを加えることができます。
使い方③納豆や冷奴、卵かけご飯に使う
煎り酒は、納豆や冷奴、卵かけご飯に使うのもおすすめです。
梅の風味と酸味が納豆に絶妙にマッチし、冷奴にかければ豆腐の味を引き立てます。また、炊き立てご飯に半熟卵を混ぜて煎り酒をかければ、コクとまろやかな風味の卵かけご飯になります。
醤油の代わりとして使えるうえ、醤油とは異なる上品な味わいを楽しむことが可能です。
使い方④カルパッチョに使う
煎り酒は、カルパッチョにもぴったりです。
オリーブオイルとの相性がいいので、鯛やサーモンのカルパッチョにかけることで、素材の味が一層引き立ちます。
使い方⑤和風パスタに使う
煎り酒は、和風パスタとも相性がいいです。
煎り酒を使えば、洋風パスタにはない出汁の旨みがきいた和風の深い味わいを楽しめます。
たとえば、納豆と合わせた「納豆パスタ」や、キノコとツナを加えた「キノコとツナの和風パスタ」など、醤油やめんつゆの代わりに使うことで簡単においしいパスタを楽しめます。
使い方⑥チヂミのつけだれに使う
煎り酒は、チヂミのつけだれとしてもおすすめです。
煎り酒にラー油やお酢、ごま油を合わせることで、韓国料理との相性がいい調味料になります。
煎り酒のまろやかな旨みがこんがり焼いたチヂミにぴったりで、風味豊かなつけだれとして楽しめます。
煎り酒を使ったおすすめレシピ3選
煎り酒を使ったおすすめ料理は次の5つです。
- 鮭のホイル焼き
- 鶏ミンチ納豆ご飯
- 簡単!自家製和ドレッシング
それぞれレシピを紹介するので、ぜひ一度作ってみてください。
鮭のホイル焼き
【材料(1人前)】
- 煎り酒:小さじ2
- 生鮭(またはサーモン):1切(約100g)
- キャベツ:30g
- 玉ねぎ:30g
- えのき茸:20g
- レモン:1スライス
※30cm程に切ったアルミホイル
【作り方】
- ボール等を使用し、生鮮に煎り酒を振りかけ、室温で3分程置いておく
- 玉ねぎは1cm幅に切り、キャベツは一口大に切り、えのきはヘタを切っておく
- アルミホイルを広げ、その上に玉ねぎ・①の生鮭・えのき・レモン・キャベツの順番で置き、最後にボールに残った煎り酒を全て振りかける
- 上部でしっかり止まるようにアルミホイルを包む
- フライパンに100mlの水を敷き、③を置いて蓋をし中火で10分焼く
- 5分程休ませ、器に移して完成
ほかにも、魚や肉に事前に煎り酒をふりかけることで、簡単に食材の旨みが上がるのでさまざまな料理にお試しください。
鶏ミンチ納豆ご飯
【材料(2人前)】
- 煎り酒:大さじ1.5
- サラダ油:大さじ1
- 鶏ミンチ:100g
- 九条ネギ:20g
- 納豆:35g
- 卵:2個
- ご飯:300g
【作り方】
- 熱したフライパンにサラダ油を敷き、鶏ミンチを加える
- 中火でしっかり炒める
- ボールに移し、刻みネギと納豆を加えしっかり混ぜ合わせる
- 煎り酒を加え、さらに混ぜ合わせる
- お茶碗にご飯を盛り④を乗せ、上に卵を乗せて完成
鰹節と梅のやさしい香りが和の食材にしっかりと合います。
簡単!自家製和ドレッシング
【材料(2人前)】
- 煎り酒:大さじ1.5
- こめ油:大さじ1
- 米酢:大さじ1
【作り方】
- 材料をすべてボールに加えて泡立て器で混ぜる
- お好みの野菜にドレッシングとしてかける
フレンチ風の和ドレッシングのような味わいを楽しめます。葉物野菜のほか、ゆでたブロッコリーやにんじんもおいしく食べられます。
まとめ
煎り酒は自宅で簡単に作ることができます。
醤油と同じように使える調味料ですが、醤油よりも塩分量が少なく、出汁の旨みを感じられるのが煎り酒の魅力です。
ぜひご家庭でも煎り酒を作って、いろんな料理に試してみてください。
山本本家の「煎り酒」
原材料 | 清酒(国内製造)、みりん、砂糖、梅酢、米酢、食塩、かつおぶし、こんぶ、梅肉 |
内容量 | 195ml |
保存方法 | 直射日光を避け常温で保存してください |
価格 | 918円(税込) |
京都伏見で蔵を構える「山本本家」が、純米大吟醸で作った煎り酒です。
室町時代には存在しなかったであろう純米大吟醸で造られた「煎り酒」は、米の旨みや利尻昆布を使った出汁の風味、梅の酸味が混然としながらも澄んだ味わいを感じられます。
「伝統を守るためには、昔と同じことを忠実に繰り返すだけではなく、常に新たな挑戦を加えていくという気構えが肝要」という信念をもとに、私たちが煎り酒を進化させました。
肉料理や魚料理、刺身、卵かけご飯などさまざまな料理に使える調味料として、ぜひ山本本家の煎り酒をお試しください。